聴潮閣の玄関


正面玄関は、車寄せが前方に大きく突き出て、門を入ると堂々たる2間間口の式台付玄関が迎えてくれる。
かつて武家にしか許されなかった最も格式の高い構えである。正面棟の鬼瓦には一富士二波、三紅葉が浮き彫りされており聴潮閣と名付けられたこの建物への建て主の願いがこめられている。



「式台玄関」とは?

江戸中期、武家でも旗本以上の屋敷にしか、許されませんでした。一般農家では由緒ある名主・庄屋は藩・天領地の末端組織的役割・機能をもっていたので式台のある玄関がみとめられていました。現代の和風建築の玄関と異なる点は土間から30センチ位の高さに間口二間~三間、奥行き半間の立派な材料で仕上げた板の間風の部分が「式台」といい、その先少し上段に上り框(舞良戸用の敷居)から玄関の間を経て来客身分によって使う座敷が変わり案内します。屋敷周囲は長屋門、棟門・築地塀など厳重に囲まれているので今の玄関のような鍵付き玄関戸・扉はなくオープンで、領主や役人が「おなり」の場合にしか使わない玄関ですから「駕籠」が式台に直接横付けされるようにもなっています。家族や同格以下の来客は「くぐり戸から内玄関・大戸口・土間」など利用されました。 

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